体験された
みなさまの声

4級修了生

寒河江 清子さん


4級を取得し、神奈川で放課後等児童デイサービスを中心に活動している寒河江(さがえ)さん。
臨床美術を学んで自分自身とのつながりが深まるとともに、どこでもやっていける自信がついたと語ってくれました。

―臨床美術を知ったきっかけは?
 放課後等児童デイサービスを運営する会社に勤めていて、新しい事業所を立ち上げることになったんですね。そこでアートに特化したものにしたいと思って、何かスペシャルなものはないかと探していた時に臨床美術を見つけたんです。まずは自分が体験してみようと説明会に参加したらどっぷりハマってしまって。「アートって楽しい!」という感覚を思い出しました。

放課後等児童デイサービスには色々な児童が来るので、絵が苦手な子でも達成感を得られる臨床美術のプログラムは良かったですね。「これは活かせる!」と思いました。

それ以外でも発見があって。以前、自分自身や家族の問題に取り組むためにカウンセリングを学んでいたのですが、日常的に自分自身と向き合うのってなかなかハードなんです。でも臨床美術を体験した時に、同じように自分と向き合う作業でも楽しいと思えたんです。今まで出口が見つからなかったのが、ポーンとフタが外れたような感覚で。すごく革命的でした。

―4級を受講してみていかがでしたか?
 子どもたちにアートを教えるという目的があったので、初めから4級まで取得すると決めていました。画材や技法の多様性という点でも、4級で制作できる作品が断然面白かったんですよね。働きながら受講していたのですごくキツかったのですが、それよりも「面白い」が勝って、全く苦ではなかったです。

 でも実際に授業を受けてみて、自分の考えが覆されました。初めは人に伝えるために学ぼうと思っていましたが、結果的に自分と向き合うことになったんです。というのも、まず自分が自分の中心に居ることを感じられるようにならないと、人に伝えられないな、と気付いたんです。5級は自分自身が臨床美術を体験する、「自分との対峙」ですが、4級になると相手(参加者)がいる状況で自分と向き合わないといけないので5級の時とは違う向き合い方でした。本に書いてある通りにはいかないじゃないですか、人って。自分が臨床美術の何が好きで何を伝えたいかっていうのをしっかり持ってないと伝わらないんですよね。豊かさとか目に見えないものを伝えるって、自分がそれを感じ取る力がないとすごく難しい。だから結果的に自分なんだなと。いい意味で裏切られました。

上:「アジの干物を描く」/下:共同制作 ※2枚とも4級講座で制作した作品

―4級の授業で印象に残っていることはありますか?
 現場実習は面白かったですね。私は学童に行ったのですが、集中することが難しい男の子がいたんです。走り回ってなかなか座ってくれなかったり、紙からはみ出してりんごの絵を描いたりしていたんですけど、鑑賞会の時に「元気いっぱいでエネルギーがたくさん詰まったりんごだね!この紙じゃ足りないね〜!」と声をかけたら、その子がうつむいてしまったんです。そうしたら隣の女の子が「先生に褒められて嬉しくて泣いてるよ」って小さい声で伝えてくれたんですね。家でも学校でもそれ以外でも叱られる事が多くて、あまり褒められてないのかな、と思ったんです。帰り際にその男の子が「先生、今度はいつ来るの?」って聞いてきてくれて、すごく嬉しくて。こんなに支援を必要としている子がいっぱいいるんだと、手応えも感じました。

—現在はどんな活動をしていますか?
 アートに特化した放課後等児童デイサービスを立ち上げて1年半ほどになります。月に2週間ほど臨床美術のクラスがあって、立体作品と平面作品を交互に制作しています。その他に、10代からシニアまでを支援するNPO法人で大人を対象に実施しています。こちらは対面とオンラインでセッションをしていて、外に出られない方や遠方の方はリモートで参加してくれています。また、自閉症の親の会や、自分が勤めている事業所でもご家族に向けてのワークショップを提供しています。

「朝日」/放課後等児童デイサービスでのデモンストレーション作品

 ―今後の目標を教えてください
 どこにいても臨床美術を通してつながっていける状態にしたいなと思っています。現在勤務している放課後等児童デイサービスは、新たに臨床美術士5級を取得した後輩に託し、来年から岡山に拠点を移して放課後等児童デイサービスや就労支援事業などで臨床美術を取り入れる予定です。また現在活動しているワークショップなどは可能な限り、リモートで継続していく予定です。このようにこれまで出会った方々ともつながりながら、自分なりのやり方で仲間を作って広げていけたらいいなと思っています。例えばダンスや音楽とコラボするのも楽しそうだし、コミュニケーションツールとしても使っていきたいですね。いきなり知らない人と話すのは難しいけど、アートだと自然にコミュニケーションが取れるんですよね。

 あとは仕事として、自分が生きていくために臨床美術士としてアート活動をすることが無理なく生活に繋がっていけばいいなと。臨床美術と今までの自分のキャリアを組み合わせたら、どこでもやっていけるんじゃないかなと思っています。

―資格取得講座の受講を検討している方へのメッセージ
 とにかくやってみるしかないですね(笑)。頭で考えるんじゃなくて、体験してみれば分かるというか。実際に私もそうだったので。何も感じられなかったらまだそのタイミングじゃないのかもしれないし、「楽しい」とか「面白い」とか、何かを感じたらその先に進んだらいいと思うんです。まずは感じてみて欲しいですね。

(介護福祉士、児童発達支援管理責任者、イラストレーター、クラフト作家)